2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面におけるナノ構造形成過程の原子レベルでの解明
Project/Area Number |
06F06750
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栃原 浩 Kyushu University, 総合理工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOCAN Pavel 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | シリコン表面 / 走査トンネル顕微鏡 / 表面シリサイド / タリウム / 表面再構成 / Si(111)7x7 / マンガン |
Research Abstract |
共同研究者のコーカン博士の努力により、試料作製室を新たに作り直すことができた。そこに既存の低速電子回折(LEED)光学系を設置することでき、STMとLEEDとを併用して実験を行なうことができるようになった。 19年度は2種類の実験を行ない、ともに成果を挙げることができた。 (1)si(111)7x7表面へのタリウム(T1)原子の蒸着と引き続いての加熱により、T1脱離後(脱離温度は約350℃)の表面を走査トンネル顕微鏡(STM)で観察した。加熱温度は400〜650℃の間で50℃刻みで上昇させた.Si(111)劈開面で見出されている(2x1)構造が形成するのを見出した。さらに、約450℃で(√<3>x√<3>)構造が出現するのを今回初めて見出した。この構造は、これまで局所的にしか見つかっていないが、Si原子がT4サイトに吸着した清浄表面構造だと思われる。これらの2つの構造が加熱温度によって出現するのは、LEED観察の結果と良く一致した。これらの構造の同定は困難であるが、LEEDとSTMの両面からさらに調べて行きたい。この結果は、Appl. Surf. Sci.に投稿し掲載が決まっている.さらに、Phys. Rev. Bに投稿すべく、現在、原稿の完成を目指している。 (2)Si(111)7x7表面へのマンガン(Mn)原子の蒸着と引き続いての加熱を、Mn被覆率、加熱温度を変えてLEEDとSTMで調べた。3 MLのMnを吸着させ、ある温度で加熱すると、原子レベルでフラットな表面が形成するのを見出した。これまで、フラットな表面はできないと思われていた。表面構造は、√<3>x√<3>であるが、B20型のマンガンモノシリサイド(MnSi)であることがわかった。現在、 APPL. Phys. Lett.に投稿中である。
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