2006 Fiscal Year Annual Research Report
非線形放物型初期境界値問題における解の対称性及び幾何学的性質
Project/Area Number |
06F06753
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
坂口 茂 愛媛大学, 理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ENACHE CRISTIAN 愛媛大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 楕円型方程式 / 境界値問題 / 楕円体 / 等位面 / 過度の境界条件 / ねじれ問題 / 領域の形状 / 完全非線形楕円型方程式 |
Research Abstract |
主な研究目的は、非線形放物型および楕円型方程式の境界値問題において、領域の形状と解の形状(解の対称性や幾何学的性質等)との関わりを知ることである。今年度、この研究によって得られた新たな知見は主に次のようである。 一般次元ユークリッド空間内の有界領域Ω上で弾性学のねじれ問題を記述する線形楕円型方程式を考える。境界∂Ω上で斉次ディリクレ境界条件を満たす古典解がもし境界∂Ωと相似な一つの等位面をもつならば領域Ωは楕円体に限る。このことはねじれ問題を含む一般のあるクラスの完全非線形楕円型方程式についても成り立つ。(論文準備中) 一般次元の楕円型境界値問題の解に過度の境界条件を課すとき、その領域は球に限るという対称性の定理はJ.Serrin(1971年)に始まり、現在に至るまで多くの研究者によって既にさまざまな楕円型境界値問題に対して多くの定理が得られている。つまり、楕円型方程式の解による球の特徴付けは多くある。これに反して、楕円体の特徴付けは2次元の問題についていくつかあるのみであった。従って、上記の知見の意義は大きいと思われる。 今後の研究の展開の一つとして、上記の結果を古典解とは限らない一般の粘性解に対する結果に拡張することが考えられ、2007年6月4日から6日にかけて東京大学で開催される国際会議「粘性解生誕25周年国際研究集会」に参加し、情報収集および会議参加者との討論や情報交換を予定している。有益な情報が得られることが期待される。
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