2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06762
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平間 正博 東北大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MURPHY GRAHAM KEVIN 東北大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | カリビアンシガトキシン / シガテラ中毒 / C-CTX / サマリウム / HIJKLMN環部 / Barbier反応 / KLM環部 |
Research Abstract |
シガテラは珊瑚礁海域において頻発し、毎年2万人以上が中毒する世界最大の海産物食中毒である。太平洋産主要原因毒素シガトキシン(CTX)はG.Toxicusが生産し、食物連鎖を経て魚類の代謝過程により多種類の同族体へと構造が変化する。 最近、R.J.Lewisらはカリブ海に生息するCaranx latusからカリビアンシガトキシン(C-CTX)を単離した。分子量は1140にも及び、これまで知られていたCTX同族体では最大である。毒性は3.6μg/kg(i.p.LD_<50>)であり、中毒症状の特徴が太平洋での神経系の症状と異なり消化器系の症状が主となる。構造的には、置換基パターンが異なり、またエーテル環が一個多く縮環し、より巨大である。さらに、M環部にはこれまでのCTXには例の無い七員環核間ジメチル骨格を有し、太平洋産CTXとはまったく異なる。したがって、カリブ海でのシガテラ予防のためには新たにC-CTXに特異的な抗体を調製する必要があり、C-CTXあるいは部分構造がハプテンとして必要不可欠である。しかし、毒魚に含まれるC-CTXは極微量であり、また、現在のところC-CTXはカリブ海に生息する毒魚からのみ得られているため、入手は極めて困難である。すなわち、化学合成によるサンプル供給が唯一の手段である。 私は、C-CTX全合成上、最も合成が困難なHIJKLMN環フラグメントの効率的合成を目指して研究を開始した。特に、サマリウムを利用したBarbier型環形成反応を考案して,KLM環部の改良合成法を検討中である。
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