2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06767
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
西野 春雄 Hosei University, 能楽研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RUMANEK Ivan 法政大学, 能楽研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 詩劇 / 能 / 謡曲 / 世阿弥 / 翻訳 |
Research Abstract |
本年度は、研究課題「詩劇としての能の翻訳と風姿花伝の研究と翻訳」の最終年度にあたるので、昨年度の成果を踏まえつつ、より精力的に研究を進め、おおむね所期の目的を達成することが出来た。 前年度の報告でも述べたように、スロバキアには、能のテキストの翻訳も、世阿弥芸術論の翻訳もなく、ルマーネク氏の研究目的は、そうした現状を憂い、能《松風》ほかの名作と、世阿弥の芸術論『風姿花伝』の翻訳を完成させ、母国の人々に能の魅力と世阿弥芸術論の特質を伝えることにあるが、本年度は、1 能《敦盛》《松風》などの翻訳を完成させ、引き続き《砧》《隅田川》にも着手するとともに、、2 世阿弥の芸術論『風姿花伝』の翻訳も完成させた。これらの成果の一端を、『詩的の劇としての能をスロバキア語で』と題し、2008年3月29日、NPO法人世界青年友の会主催の講演会で流暢な日本語で発表した(会場・台東区渉外学習センター)。またその成果を著書として出版すべく、スロバキアへ一時帰国し、共同執筆者のアンナ・フラバコア氏と共に出版社と協議を重ね、2009年の出版予定まで進めることができた。出版されれば、スロバキア語による初の能楽書の誕生となる。 このような研究成果をもたらしたのは、何よりもルマーネク氏の研究に対する資質と真摯な姿勢をあげたい。さらに能の謡いや仕舞まで学習するという熱意と実行力も高く評価したい。奈良や京都を中心とする能のふるさとへの旅もその現れであろう。能の翻訳に優れた実績のある日本在住の外国人研究者との交流も深めており、助言を翻訳に生かしてもいる。 このような次第で、「詩劇としての能の翻訳と風姿花伝の研究と翻訳」は、近い将来単行本の形でその成果を世に問うことになろう。研究の機会を与えていただいだ貴会に対し、深く感謝申し上げる。
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