2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06768
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河東 泰之 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SVEGSTRUP Rolf Dyre 東京大学, 大学院数理科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 場の量子論 / 共形場 / 作用素環 / half-sided modular inclusion |
Research Abstract |
共形場理論の作用素環的研究において,表現論の研究を行った. 作用素環の共形ネットは,連続濃度個のvon Neumann 環の族であるが,Wiesbrockはこのうち二つの環だけから全体を再構成できることを示し,そのような再構成ができるための二つの環の条件を与えた.そのような作用素環二つの組を,片側モジュラー包含という.片側モジュラー包含と作用素環の共形ネットは論理的に同値であるが,前者には作用素環を二つ考えるだけでよいというメリットがあり,一方後者には,表現論が考えやすいという利点がある.今回の研究ではこの両者の見方を統合して,前者の枠組みにおいて表現論を考察した. 共形ネットの表現論では,作用素環の族がいっせいにほかのHilbert空間に表現されることを考える.これは意味は明確だが,さまざまな取り扱いが困難である.たとえば,二つの表現論のテンソル積がどのように定義されるのかまったく明らかでない.これを取り扱うのがDoplicher-Haag-Roberts(DHR)理論であり,表現をある大きな作用素環の自己準同型として取り扱う.これによって,表現のテンソル積は自己準同型の合成として定義される. この自己準同型を,片側モジュラー包含の自己準同型として取り扱ったのが,発表論文の前半の結果である. 片側モジュラー包含の大きい方の環の自己準同型が,共形ネットに移ったときにいつ,DHR理論の意味での自己準同型を与えるかについての条件を明らかにした. また,このようなDHR理論の意味での自己準同型から出発すると,ConnesによるRadon-Nikodym型定理を経由して,ある種のweightが得られることが,Bertozzini-Conti-Longoによって知られていた.発表論文の後半では逆に,どのようなweightから表現が発生するか,また異なるweightが同値な表現を生み出すのはいつか,という問題について明解な判定条件を与えた.
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Research Products
(1 results)