2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06769
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宗田 孝之 早稲田大学, 理工学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EIKIE N.S. 早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | メラノーマ / 拡散反射スペクトル / ユーメラニン / フェオメラニン |
Research Abstract |
[目的]メラニンにはユーメラニン(EM)とフェオメラニン(PM)がある。メラノーマでは5S-CD産生増加によりPMが増加する。経皮拡散反射スペクトルからPMと相関の高いパラメータの抽出に挑戦した。 [方法]実験には3次元培養皮膚モデルを用いた。メラノサイトには黒人由来(B)、黄色人種由来(Y)の2種類を使用した。UVB照射下で2週間培養してメラニンを産生させた。産生メラニン量制御にはコウジ酸を用いた。それら試料から拡散反射スペクトルを測定するとともに、産生されたメラニンを全メラニン、EM、PMに分けて化学的に定量した。化学的メラニン定量の精度は、全メラニン量とEMとPMの合算量との相関係数で評価してR^2=0.73であった。 [結果]拡散反射スペクトルから有効光学密度スペクトルを算出した後、複数の波長での有効光学密度と複数の波長間におけるスペクトルの傾きを求めた。それらと化学的に定量したEM、PM量との相関を調べた。メラノサイトに依存せず、PM量がスペクトルの傾き及び単一波長の有効光学密度と相関が高かった。実験の範囲内で、メラノサイト依存性として以下のことを見出した。B-メラノサイト産生PM量では、630-700nm領域のスペクトルの傾きとR^2=0.94という相関を示したが、Y-メラノサイト産生PM量では、680-720nm領域で高々R^2=0.77であった。630,680,700nmでの有効光学密度とB-メラノサイト産生PM量との相関はR^2>0.95であり、Y-メラノサイト産生PM量でもR^2〜0.8であった。 [今後の課題]結果は、メラノーマに対するスペクトル診断の可能性を示唆した。有効光学密度とPM量の高い相関が、ヒト皮膚での計測結果に成立するか否かはわからない。皮膚モデル表面は平坦であるが、ヒト皮膚には曲率があるからである。経皮拡散反射スペクトル計測時にその曲率が容易にバックグラウンドを変化させ、結果として有効光学密度を変化させてしまう。今後、経皮拡散反射スペクトル計測からヒト皮膚のPM定量法を開発するために、計測条件を精査する予定である。ヘモグロビンスペクトルとの干渉補償も課題である。
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