2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06779
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOSIMANN MARKUS 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | アデニン / グアニン / カルベン配位子 / イミダゾール / ヌクレオシド / デオキシリボース / ロジウム / 銀 |
Research Abstract |
N-Heterocycli ccarbenes(NHC)は、隣接する窒素原子の影響を受けて安定に存在するカルベン化合物である。またNHCは遷移金属に配位して安定なカルベン錯体を形成する。最近、特徴のある性質を示す様々なカルベン錯体が合成され、カルベン錯体は新しいタイプの分子触媒として注目を集めている。そこでDNAの核酸塩基(アデニン・グアニン)がNHCに誘導可能なプリン骨格を持つ分子であることに着目し、これを基盤とした核酸塩基由来カルベン錯体の合成を試みることにした。まず、アデニンから出発してアデニン由来カルベン錯体の合成を試みたが、7位と9位の窒素を両方ともアルキル化することが困難であり、ジアルキル化生成物を得ることができなかった。一方、グアニンは11位アミノ基をアセチル基で保護した後に、臭化ベンジルを作用させると、7位と9位の窒素がベンジル化されたジアルキル化生成物に収率77%で変換できた。次に、この合成中間体に酸化銀を作用させて、Ag-カルベン錯体を得た。しかし、このAg-カルベン錯体は有機溶媒に対する溶解性が低く、精製して単離することができなかった。そこで研究計画を見直し、核酸塩基ではなくイミダゾールを持つヌクレオシドを基盤にしたカルベン錯体の合成を行うことにした。まず、デオキシリボースから4工程でイミダゾールを持つヌクレオシドを合成した。次いで、ヨウ化メチルでアルキル化した後に、酸化銀を作用させて、Ag-カルベン錯体を得た。このAg-カルベン錯体は、先の錯体と異なり有機溶媒に対する溶解性が高く、容易に精製して単離することができた。現在、Ag-カルベン錯体から金属交換により合成したRh-カルベン錯体を用い、単結晶化を検討中である。今後合成した遷移金属カルベン錯体を用いて各種触媒反応を行い、その特徴を明らかにする予定である。
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