2007 Fiscal Year Annual Research Report
漢蔵諸語・新出土資料を用いた中国語「音転」現象の総合的研究
Project/Area Number |
06F06780
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 克也 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WU Z. 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国語 / 音転 / 音韻学 / 訓詰学 |
Research Abstract |
主たる研究遂行者であるWU研究員は、大西と相談の上、本年度の計画を下記の如く定め、それに従って研究を実施した。(1)2007年四月より七月まで、両漢魏晋時代の経典における注釈と計詁関係の書籍における音転現象を調査する。(2)8月より10月まで唐宋元明時代の訓詁学の特色から、当時における音転現象研究の変革を探る。(3)11月より2008年3月まで、清代訓詁学の成果と音転現象研究の特色を探る。研究計画はほぼ予定通り実施され、(1)については「音訓の淵薮」、(2)については「音訓の変革」という文章を完成させている。(3)については調査対象が多いため、次年度に引き続き行なう予定である。具体的な成果としての一端を述べると、これまで音転研究の資料としてはあまり重視されることのなかった漢代の『白虎通』の価値を見出したことが挙げられる。全書から200例近い声訓の資料を整理し、他文献との比較積討の結果、独自の声訓は50を超え、『説文』や『礼記』鄭注などその他の資料と共通するものも多く、豊富な音転現象を提供している。また後漢の高誘の注釈における2音節同義並列複合語の分析から、声母の清濁、声調などの前後関係に一定の規則性があることが判明した。これらの成果は日本中国語学会第57回全国大会や四川大学で開催された第3回漢語史学術会議で発表した。この他、湖南師範大学などにおいて音転関係の資料調査を行なった。 一方受入研究者である大西は、戦国秦簡時代の出土資料における音転に関連する現象の探求を行ない、楚簡における諧声符の分布を検討した結果、上古漢語牙喉音に由来する中古漢語の舌音章組字の中には、「慎」「折」「噬」などこれまで知られていないものが含まれていることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)