2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06782
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 節 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCARDIGLI Fabio 京都大学, 基礎物理学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 一般化された不確定性原理 / 高次元ブラックホール / 高次元重力 / ブレーン世界説 |
Research Abstract |
2008年度は前年度に引き続き,以下のテーマに関する研究を行った。 1.トフトが提案している「決定論的量子化」とその応用 2.一般化された不確定性原理と極小ブラックホールとの関係 3.ホログラフィーを満たす一般化された不確定性原理 1,の決定論的量子化とは,散逸構造を持つ決定論的古典系がある極限で量子論的振舞いを示すという事実に基づいている。本年度は,この問題を相互作用する2つの散逸的ベイツマン振動子系に適用し,この古典系が,磁場中でのスピン-軌道相互作用によって相互作用する量子振動子系と理解できることを示した。この成果は近いうちに発表予定である。 また2.に関しては,高次元時空理論における2つの一般化された不確定性原理を考え,そのそれぞれ基づいて極小ブラックホールに関するエントロピーや熱容量等を計算し,その蒸発課程を考察した。その結果,そのどちらの不確定性原理に対しても,ブラックホールは完全に蒸発せずに残骸が残る可能性が高いことを示した。一方で,その2つの不確定性原理が定量的には大きく異なるブラックホールの寿命を予言することから,これらのいずれかが正しいかがLHCによって検証される可能性を指摘した。この成果は投稿準備中である。 3.に関しては,ブレーン世界説に基づいた時空モデルにおいて球対称ブラックホールを考えると,ホログラフィーが成立するためには,そのブラックホール近傍では等価原理が破れているはずである,という興味ある結果を得た。この成果は学会誌に掲載された。
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Research Products
(1 results)