2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体を触媒とする新しい触媒的不斉合成反応の開発
Project/Area Number |
06F06794
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 民生 京都大学, 大学院理学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SORGEL Sebastion 京都大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 触媒的不斉合成 / ロジウム触媒 / キランジエン配位子 / 共役付加 / 反応機構 |
Research Abstract |
光学活性化合物の効率良い供給法の開発は急務である.さまざまな供給法の中で,触媒的不斉合成は原理的に極少量の不斉触媒が無限の光学活性化合物を供給し続けることができる高効率プロセスであり,この触媒的不斉合成は最近30年間程に活発に研究されてきたが,完成度の高い不斉反応は極くわずかである.ロジウムまたはルテニウム触媒による不斉還元反応のように信頼性の高い,中には工業的利用にまで到達したものも開発されているが,未だに効率的な不斉化に成功していない重要な化学変換工程は多い.特に炭素一炭素結合形成反応の不斉化は完成度が低くチャレンジングな研究課題である.ここでは,不斉炭素一炭素結合形成反応として受入研究者がこれまで取り組んできたロジウム触媒不斉1,4-付加反応とキラルジエン配位子を取り上げ,その新しい展開を目指した研究を行った. 平成18年度に特に重点的に研究したのは,キラルジエンの新規高効率合成法の開発である.2環性ジエンであるビシクロ[2.2.2]オクタジエン骨格をもつ光学活性ジエンをロジウム触媒不斉1,4-付加反応を鍵行程として用いて合成する方法を模索した.まだ完成には至っていないがラセミ体の光学分割を経ることなしに光学活性ジエンを得る反応経路を考案し,実際に合成反応に着手した.また有機ボロン酸のロジウム触媒不斉1,4-付加反応の反応機構を反応速度論の研究から解明し,この反応の律速段階は有機ボロン酸からロジウムへのトランスメタル化の段階にあると結論した.
|