2007 Fiscal Year Annual Research Report
腸内フローラ構成細菌の産生する一酸化窒素(NO)の生体に及ぼす作用の解析
Project/Area Number |
06F06798
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
神谷 茂 Kyorin University, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SOBKO Tanja 杏林大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 一酸化窒素(NO) / 腸内フローラ / 病原性 / ヘリコバクター・ピロリ |
Research Abstract |
腸内フローラ構成菌は硝酸塩より一酸化窒素(NO)を産生する。NOは平滑筋弛緩作用、血管拡張作用、殺菌作用などの作用をもち、種々の疾患の治療、予防および病態に関与することが知られている。本研究では腸内フローラ由来菌のNO消費性およびNO誘導能を解析した。加えて、Helicobacter pyloriの長期感染とNO産生との関連性を調べ、本菌の病原性発現におけるNOの意義について検討を行った。 無菌ラットに硝酸塩含有飲料水を1週間摂取させた後、腸内菌として硝酸塩還元酵素および亜硝酸塩還元酵素を有するCitrobacter freundiiを経口接種した。4週後にラットを安楽死させ、血液中、盲腸組織内での硝酸塩および亜硝酸塩濃度を測定した。感染ラットでは血液および盲腸内の亜硝酸塩濃度の有意な上昇を認めた。盲腸内容物におけるアンモニア量の増加も認められた。これらの結果より、C.freundiiは体内に投与された硝酸塩を還元し、亜硝酸塩を産生し、NO産生に寄与することが明らかにされた。 スナネズミに予め2週間、硝酸塩を経口投与し、その後H.pyloriを経口接種し、本菌の持続感染モデルを作成した。感染3ケ月後にスナネズミを安楽死させ、胃粘膜内のH.pylori菌数、胃粘膜病変の評価、胃および血中硝酸塩・亜硝酸塩、誘導性NO合成酵素(iNOS)発現を評価した。H.pylori定着菌数およびiNOS量は硝酸塩添加群と非添加群の間に差は認められなかった。硝酸塩添加群では胃腺拡張像、血清中亜硝酸塩濃度の増加、胃内硝酸塩濃度の減少が認められた。これらの結果より胃内に定着するH.pyloriは硝酸塩、亜硝酸塩の動態に影響を与えることが示された。
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Research Products
(5 results)