2007 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的・毒性学的研究ツールとしての異種細胞を同時培養するマイクロ臓器デバイス
Project/Area Number |
06F06809
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 康行 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EVENOU Fanny 東京大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 生物・生体工学 / 微細造形 / 酸素供給 / 臓器細胞 / 三次元培養 / ポリジメチルシロキサン |
Research Abstract |
開始1年目にあたる平成19年度においては、特に重要な肝組織についての最適化をめざし、マイクロ流体デバイス作成にも利用可能な高酸素透過性を持っポリジメティルシロキサン(PDMS)を基材とし、三次元構造の付与と酸素供給向上の効果について、検討を行った。 1.三次元構造の効果 底面から酸素供給をしない状況では、ピラー状の三次元構造の付与は平面培養と比較して、顕著な増殖や機能の向上は見られなかった.ただしピラー状の三次元構造表面で、部分的に細胞が凝集し、三次元的な構造をとることが観測された、ただ現時点ではその生理学的意義は不明であり、従来報告されている肝細胞凝集体との類似性も不明である. 2.直接酸素供給の効果 ピラーの無い平面上でも、直接酸素供給を行うことで、細胞は最大で8層程度まで増殖した。これは酸素供給なしの2-3倍であった.また、これは定常状態での酸素供給と消費に着目した酸素濃度分布から予想できた.すなわち、8層まで増殖しちょうどその上面での酸素濃度がほぼゼロになることが簡単な数理解析で確かめられた.一方、機能学的にはアルブミンの分泌活性は播種細胞3あたりでも極めて顕著に上昇し、最終日の細胞あたりの活性は、酸素供給なしに比べて20-50倍へと高まった.このような顕著な酸素供給効果の下では、三次元ピラー構造の付与の更なる効果は観測されなかった. これらの成果については、すでに国際学会にて一回の発表を行いプロシーディングズを執筆、まずは酸素供給の効果に絞って学術投稿論文を投稿中である(J. Biotechnol誌). 他の臓器由来細胞については、平行した予備実験を開始しているが、単に細胞からの酸素要求量を満たすだけでなく、適切な濃度領域で細胞に与えることが重要であるとの基礎知見を得ている.細胞周囲の酸素濃度分布については、今年度末にAFMと酸素電極と組み合わせた走査型電気化学顕微鏡(SECM)を導入予定であり、数理モデル解析ばかりでなく実測を行えるようになり、より明確に酸素供給の重要性を指摘できるものと期待している.
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Research Products
(2 results)