2007 Fiscal Year Annual Research Report
強相関遍歴電子系4d/5d遷移金属酸化物による熱電酸化物の探索
Project/Area Number |
06F06810
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寺崎 一郎 Waseda University, 理工学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KLEIN Yannick 早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 強相関電子系 / 熱電変換材料 / 4d・5d遷移金属酸化物 / 金属-絶縁体転移 |
Research Abstract |
我々は,近年,熱電変換材料として注目を集めている3d遷移金属酸化物の研究経験を活かし,より遍歴性が期待できる4d,5d遷移金属酸化物で高性能の熱電変換材料の設計と合成を試みている。 昨年度の1次元Ru酸化物BaRuO_3の研究は,本年6月に研究をまとめ,Physical Review Bに投稿,レフェリーの反応もよく10月に出版された。またこの成果を,本年6月に韓国で行われた熱電変換国際会議や,9月の日本物理学会で発表した。この研究によって,多くのRu酸化物の熱電特性を総括的に理解することができた。4価のRuイオンを含む酸化物は,結晶構造によらず本質的にマルチバンドであり,抵抗,熱起電力,ホール効果は簡単な2バンドモデルで半定量的に理解できる。 今年度は4価のIrイオンを含む酸化物の研究を展開した。様々なIr酸化物を調べたが,層状Ir酸化物Sr_2IrO_4を集中的に調べた。この物質は高温超伝導を示すLa_2CuO_4と類似の結晶構造を持つ。単純な電子状態の計算でもスピン1/2の2次元バンドが伝導帯となっており,キャリアドーピングで金属化(あわよくば超伝導化)が期待できる。実際,SrのLa置換によって電子ドーピングに成功した。残念ながらLaの固溶限界が5%と低いため,完全な金属化には成功していない。また,IrのRh置換が実効的なホールドーピングとなっていることを見出した。どちらの場合も150K以上で少数キャリアの熱励起を観測し,この系が100K程度のエネルギーギャップを持つた半導体であることがわかった。このギャップの起源について考察を行い,スピン密度波の可能性を指摘した。
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Research Products
(6 results)