2008 Fiscal Year Annual Research Report
強相関遍歴電子系4d/5d遷移金属酸化物による熱電酸化物の探索
Project/Area Number |
06F06810
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寺崎 一郎 Waseda University, 理工学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KLEIN Yannick 早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 4d・5d遷移金属酸化物 / 熱電変換材料 / 電子相関 |
Research Abstract |
熱電変換材料は固体の熱電現象を利用して、電力と熱エネルギーを相互に変換する機能性材料である。近年、層状コバルト酸化物が高い熱電変換性能を持つことが発見され、酸化物による熱電変換が注目されている。3d遷移金属であるコバルトに比べて、4dおよび5d遷移金属酸化物は、波動関数がより広がっており、電子相関と遍歴性がバランスした金属相が実現する。本研究では4dおよび5d遷移金属酸化物による新しい物性の発見と、それに基づく熱電変換材料の設計と合成を試みた。 まず、5d系ではイリジウム(Ir)に注目した。とりわけ層状イリジウム酸化物Sr2Ir04の物性を調べた。さまざまな元素置換効果を行った結果、この系が狭いエネルギーギャップを持った系であり、電子・ホールのどちらもがドープできることがわかった。それに基づき、その電子状態についても考察した。 4d系についてはさまざまなルテニウム(Ru)酸化物を調べた。Ru酸化物はしばしばRuのダイマー(二量体)を作って金属絶縁体転移を起こす。 今回調べた物質はBa_4Ru_3O_<10>とBa_7Li_3Ru_4O_<20>である。前者は低温でエネルギーギャップを伴う金属絶縁体転移を生じ、抵抗率やホール効果が数桁にわたって変化する。この振る舞いは熱電変換材料の候補であるFeSiと似ている。二番目の物質はギャップは開かないものの低温に向かって抵抗率が増大する。それとともに磁化が低下するので、Ruのダイマー化が短距離秩序で生じていると思われる。この系では低温で大きな非線形伝導と非線形磁気抵抗を観測した。まだそのメカニズムは不明であるが、新しい物性を予感させる発見である。
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Research Products
(5 results)