2006 Fiscal Year Annual Research Report
引張あて材細胞壁のセルロースミクロフィブリル超微形態とそのバイオメカニクス的意義
Project/Area Number |
06F06811
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 浩之 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RUELLE Julien Pierre 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | セルロースミクロフィブリル / 成長応力 / 負重力屈性 / 細胞壁 / 二次木部 / 引張あて材 / 高等植物 / ゼラチン繊維 |
Research Abstract |
Ruelle博士の着任以来,3ヶ月間で以下のような研究成果を得た.南米仏領ギアナに生息する数種の広葉樹種について,予め表面成長応力が測定された3樹種-Eperua fatcata(厚いG層形成),Simaruba abara(明確なG層を形成しない),Laetia procera(多層のG層を形成)-を解析対象とした.本年度は,まず採取後の木部試料から解析用試験片を調整し,木部および細胞壁の解剖学的特徴を顕微鏡観察し,形態的特徴を数値化する準備を整えた.具体的には,現有の光学顕微鏡,画像解析システム,材料試験器,走査型電子顕微鏡,およびエックス線回折装置を用いるための環境設定(ソフトウェアの作成,切片作成)を行った. 同時に,広葉樹あて材ゼラチン繊維から,ゼラチン層を単離収集する技術を確立した.実際に,本年度は超音波振動法を用いてG層を非破壊的に採取することに成功した.日本産広葉樹のあて材試験片から,試験的に得られたG層の顕微鏡形態観察を行うと同時に,エックス線回折装置(現有)を用いて,二次壁とG層とのセルロースミクロフィブリルの特性(単結晶の大きさやセルロース微結晶繊維の配向性)の違いを検討した.その結果,G層は極めて結晶性の高いセルロースIからなること,その配向性は極めて揃っていること(細胞長軸方向),また構成している単結晶の大きさは二次壁のセルロースに比べて有意に大きいことなどがわかった.今後,当初計画において予定していた南米産樹木試料を用いて,観察測定を行う予定である.
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