2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体デバイス及びMEMS技術の細胞毒性測定への応用に関する研究
Project/Area Number |
06F06813
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 輝夫 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
POLENI Paul-Emile 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 細胞培養マイクロデバイス / 細胞毒性 / PDMS / 微小空間 / ソフトリソグラフィ |
Research Abstract |
マイクロ流体デバイスを用いると、微細構造の三次元性、微小空間の効果ならびに培養液の潅流による栄養分や酸素の連続的な供給が可能であることなどから、肝細胞や内皮細胞を良好に培養できる。また、デバイス内部にセンサアレイ構造を集積化し、細胞の動的な挙動を計測することによって毒性・薬物動態試験に応用可能なデバイスとして用いることが期待されている。しかしながら、実際にマイクロ流体デバイスとして細胞毒性測定を行うにあたり、微小空間内において培養される細胞が、その生理的状態を分子レベルでどのように維持しているのかについては、未だ明らかでなく、詳細な検討が必要である。本研究は、細胞を培養するマイクロ流路の寸法ならびにアスペクト比、を様々に変化させ、細胞の生理的機能との関係を詳細に検討し、さらに、細胞を担持したゲル粒子をマイクロ流路内に導入する新しい方法を用いることによって、細胞間の空間的な配置を制御する方法についても検討を行い、マイクロ流体デバイスを用いた細胞毒性測定技術を確立しようとするものである。 研究初年度には、培養細胞に対するマイクロ流路の寸法の効果を詳細に調べるため、寸法の異なる流路内部において肝細胞や内皮細胞などの培養を行い、それらの生理的機能について分子レベルの詳細な検討を加えた。マイクロ流体デバイスにおいて細胞培養を行う際の流路寸法と細胞の活性や増殖との関係を調べるため、PDMS(polydimethylsiloxane)を材料として製作した数十mm〜数百mmの異なる流路幅と1/10〜10程度の流路断面のアスペクト比を有する流路内部において肝細胞や内皮細胞などの培養を行った。その結果、流路高さが100μmの場合には細胞が十分に増殖することができず、また、300μm及び500μm高さの場合には、細胞が三次元的な構造を形成することが確認されると同時に、500μmの方が活性が高いことが明らかになった。 その後、マイクロ流体デバイスにおける細胞培養とその評価に関わる技術として、流路表面の異種材料コーティングによる細胞の形態及び活性変化:デバイスの材料であるPDMS表面上にパリレン(parylene-C)をコーティングすると、PDMSの際に見られた3次元的な形態ではなく、2次元状に増殖することを見出した。その理由を調べるために、培養時に細胞外マトリクスとして使用するコラーゲンの様相を原子間力顕微鏡等を用いて分析するとともに、細胞膜表面に発現するタンパク質等を含め、細胞活性について詳細な検討を行った。当該年度内に論文発表には至らなかったが、この結果については既に論文投稿中である。
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