2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06816
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 節 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CZINNER Viktor 京都大学, 基礎物理学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 宇宙論的相転移 / ブレーン宇宙 / ブラックホール |
Research Abstract |
今年度は,ブレーン宇宙(より一般的にはドメーンウォール)の上,あるいはその近くにブラックホールが存在する場合のブレーンとブラックホールの相互作用に関する研究を開始した。その動機は以下の2つである: 1.初期宇宙では,様々な真空の相転移が起こり,その結果,様々な位相欠陥が生成されたと考えられているが,そのひとつにドメーンウォールがある。また,そういう相転移ではしばしば多数のブラックホールが生成される。そこでドメーンウォールと原始ブラックホール間の相互作用を調べることで,初期宇宙の相転移をより深く理解することが可能となる。 2.もうひとつは最近よく議論されている,強結合のゲージ理論が1次元大きい時空の重力理論中におけるブレーン世界上に再現されるというゲージ・重力対応である。この場合に重力理論側にブラックホールが存在し,それがブレーンに近づいたときに,対応するゲージ理論で何が起こるかを理解し,それによってブレーン宇宙の理解を深める。 現在は,ブレーンの厚みの効果に関して研究を進めている。この場合は,ゲージ・重力対応でいうと,いわゆるトフト結合定数の強結合極限ではなく,その次の次数,すなわち有限のトフト結合定数の値という現実的な状況を考えていることに対応する。具体的には,ブレーンの厚みに対応した高階微分の修正項をブレーン上に与え,その運動方程式について代数計算ソフトを使って考察を進めている。しかし,残念ながら,まだ成果をあげるまでには至っていない。
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