2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06816
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 節 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CZINNER Viktor 京都大学, 基礎物理学研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 宇宙の回転 / 宇宙背景輻射の揺らぎ / ブレーン宇宙 / 高次元ブラックホール |
Research Abstract |
今年度は,一様等方宇宙を背景として,宇宙全体の回転(渦)的揺らぎを考え,それを一般相対論的に解析し,特にその宇宙マイクロ波背景輻射の温度揺らぎへの影響を調べた。その主な目標は,最近観測的にその存在が強く示唆されている宇宙定数(ダークエネルギー)の影響を定量的に調べることである。そこで,観測的に支持されている空間的に平坦な宇宙を考え,宇宙定数のあるなしが回転的揺らぎの振舞いに与える影響を詳しく調べた。また,回転的揺らぎが温度揺らぎに与える影響の時間依存性に関する解析的な表式の導出に成功した。結果は,このような大局的揺らぎの影響は,宇宙定数が存在しても,通常の密度揺らぎように大きく抑えられることはなく,振幅がほぼ3分の1程度になるだけであることが分かった。また,この結果を最近の宇宙マイクロ波背景輻射の2重極モーメントの観測データに適用し,それから宇宙全体の回転への強い制限を得た。この成果は,「第18回一般相対論と重力」国際会議において発表した。 また,最近は高次元時空理論に基づいた宇宙論が盛んに研究されている。そこで,こうした高次元理論の影響を調べるべく,高次元時空におけるブレーン世界とブラックホールの相互作用について,研究を始めた。ブレーン世界は,ブラックホールを中心とする高次元系から見ると,ブラックホールに突き刺さった位相的欠陥とみなすことが出来る。そこで,その位相的欠陥のダイナミックスを解析的,数値的両面から調べる研究を始めている。
|
Research Products
(2 results)