2007 Fiscal Year Annual Research Report
低次元の強相関電子系の理論的研究:朝永・ラッティンジャー流体の伝導及び磁気的性質を研究する。また、2次元でのモット転移の解明
Project/Area Number |
06F06902
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古崎 昭 The Institute of Physical and Chemical Research, 古崎物性理論研究室, 主任研究員
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KECKE Lars Oliver 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 外国人特別研究員
|
Keywords | フラストレーション / ネマティック相 / ベクトルカイラル秩序 / マグノン励起 / ボーズ凝縮 / 繰り込み群 |
Research Abstract |
昨年度に引き続いて、最近接交換相互作用J_1が強磁性的だが次近接交換相互作用J_2は反強磁性的なフラストレーションの強い一次元S=1/2量子スピン鎖模型の磁性を研究した。この模型は、Rb_2Cu_2Mo_3O_<12>やLiCuVO_4などの一次元鎖構造をもった銅酸化物の磁性の理論模型と考えることができる。これまでに我々は、複数のマグノン励起の束縛状態がボーズ凝縮したスピンネマティック相などの多重極秩序相が、強磁性相に隣接して存在することを明らかにした。今年度はさらに、束縛状態を形成するマグノンの数が2,3,4,5と変化する転移点を与える相互作用の比J_1/J_2をマグノン密度が低い極限で数値的に決定した。低磁場領域でマグノン密度が高くなっている磁場領域に対しては、密度行列繰り込み群法を用いて磁化曲線を計算し、多重極秩序相から別の相への相転移があることを示した。この新規相のもつ秩序を特定するために、密度行列繰り込み群法により各種の相関関数を計算した。その結果、隣接する2スピンの外積の磁場方向への射影として与えられるベクトルカイラル秩序変数が長距離秩序していることを確認できた。このベクトルカイラル秩序相が強磁性的J_1-J_2模型について実際に確認されたのは初めてである。ベクトルカイラル秩序相ではスピン軌道相互作用によって電気分極を生じることが可能であり、これはマルチフェロイック相を実現する機構として重要である。また、ボゾン化法や(摂動的)繰り込み群による解析的研究からも、ネマティック相とベクトルカイラル秩序相の出現と競合を理解することができた。これらの結果を現在論文としてまとめている。
|
Research Products
(4 results)