Research Abstract |
本研究の目的は,電磁気的手法を用いることによって,外部から非破壊で材質評価を行うシステムを開発することである。そのため,我々は,焼入れが施された鉄鋼材について着目し,焼入れ深さや度合いの評価を行っている。平成19年度の計画として,前年の結果に基づき,さらに様々な鉄鋼材の磁気測定を行い,磁気特性や機械特性の相関関係を明らかにしていくことである。また,実際に磁気特性を外部から非破壊評価できるような磁気センサの構造について検討を行っていく必要がある。 まず,我々は,これまで研究に用いてきた炭素鋼以外にも,低炭素鋼板でも焼入れによって高硬度が得られることがわかった。そのため,低炭素鋼板の磁気特性を明らかにし,磁気特性と機械特性の比較を行った。その結果磁気特性及び機械特性の関係から,焼入れ効果有無の評価が可能であることがわかた。しかしながら,低炭素量にも関わらず,焼入れ効果が得られた要因についてはわかっていない。焼入れ効果の要因として,焼入れ前の状態や焼入れ条件の影響が考えられる。我々は,焼入れ前状態の機械的要因(ひずみ,残留応力)に着目した。その際に,様々な焼入れ条件の試料に対して磁気特性を行う必要があり,新しい磁気測定システムの開発を行った。平成19年度では、主に焼入れ低炭素鋼板の磁気特性の結果について,国内学会や国際学会にて報告し,様々な研究者と議論を行ってきた。 また,実用化に向けて磁気センサの検討を行った。磁気センサの開発する際に,どのように励磁し,どのように焼入れ鉄鋼材内部の磁気特性の変化を検出するか,測定結果をどう扱うかといった問題があげられる。これまでの磁気センサでは,試料と磁気センサの間隔が数mm程度で測定が行われているが,我々は,磁気センサを離れた位置に設置し測定を行い,材料の何らかの変化が得られないかどうかを数値シミュレーションを用いて検討を行っている。
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