Research Abstract |
昨年度(平成19年度)に開発した可視光照射下で効率良く駆動するBiVO_<4n>型半導体光電極とPt電極を組み合わせた二電極式の湿式光電池の構築し,水を分解することを試みた。その結果,可視光照射下で,二電極間に0.8Vのバイアスを印可したところ,光電流が流れ,その電流値に見合った量の水素と酸素が生成した。水分解を目指した湿式光電池の場合では,光電流の観察のみならず,生成した水素と酸素の定量が重要である。さらに,疑似太陽光照射下においても,同様に水素および酸素の生成を確認した。このように,水分解に必要な理論電圧1.23Vより小さい外部バイスで水分解が進行したことから,光エネルギー変換システムの構築に成功した。 一方,新しい可視光応答性光触媒の探索として,水分解に活性なATa_2O_6(A:Ca,Sr,Ba)光触媒に,Irをドーピングすることによる可視光応答化を試みた。その結果,BaTa_2O_6にIrをドーピングすることで,可視光領域に新しい吸収が発現した。そして,可視光照射下で,メタノール水溶液から水素を定常的に生成した。このIrをドーピングしたBaTa_2O_6を水素生成用光触媒として,酸素生成用光触媒であるBiVO_4と組み合わせ,水分解反応を試みた。その結果,二つの光触媒をつなぐ電子伝達剤としてCo錯体を用いたときに,可視光照射下で水から水素と酸素が生成した。このように,新しい二段階励起による水分解システム(Zスキーム)系の構築に成功した。
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