2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J00114
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
黒田 貴一 東京理科大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化還元縮合 / アルキルジフェニルポスフィナイト / トリメチルシリルメチルアジド / アジド化 |
Research Abstract |
アルキルジフェニルホスフィナイトを用いる酸化還元縮合反応を活用して、従来極めて困難とされてきた「光学活性な第3級アルコールから立体反転を伴う1級アミン誘導体への変換法」を確立することを目指して研究した。まず、窒素求核剤として無置換スルホンアミドを用いる反応について種々検討し、その結果、酸化剤としてトリメチルシリルメチルアジドが最適な試剤であることを見出した。しかし、3級アルコール由来のホスフィナイトにっいては、各種のニトロベンゼンスルホンアミドを用いる反応を試みたが、対応するN-アルキル化体はほとんど得られなかった。 上記の結果は、窒素求核剤が嵩高い構造をもっているために、3級アルキルポスフィナイトのアルキル部位への攻撃が阻害されていることが考えられる。そこで次に、立体障害の小さいアジド化合物を窒素求核剤として用いることを考案した。3級アルキルポスフィナイトのアジド化を例にとり、種々のアジド化合物、キノン(酸化剤)或いは反応条件にっいて検討した。その結果、メトキシベンゾキノンの存在下、トリメチルシリルアジドを作用させると、目的とするアジド化反応が円滑に進行することが明らかになり、また、このアジド化は種々のアルコールに適用できることが分かった。光学活性な3級アルコール由来のホスフィナイトを基質に用いた場合には、対応するアジド体が高収率かつ高い立体反転率で得られることが明らかになった。これは、光学活性な3級アルコールから立体反転を伴って光学活性なアジド化合物を合成する初めての例である。さらに、得られた光学活性なアジド体は水素化アルミニウムリチウムで処理して対応する光学活性なアミンに誘導した。 以上、3級アルコールから3級アルキルアジドの新しい合成法を見出し、「光学活性な第3級アルコールから立体反転を伴う1級アミン誘導体への変換法」を確立することができた。
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Research Products
(1 results)