2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J00114
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
黒田 貴一 Tokyo University of Science, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化-還元的脱水縮合 / ベンゾキノン / 2-メルカプトベンゾチアゾール / スルフィド / 立体反転 |
Research Abstract |
アルコールから調製されるアルキルジフェニルホスフィナイトおよびベンゾキノン類を組み合わせ用いる酸化-還元的縮合反応を活用し、各種求核剤をアルキル化する反応について研究を行ってきた。昨年度は窒素求核剤としてトリメチルシリルアジドを作用させると、光学活性な第3級アルキルホスフィナイトが立体反転を伴って対応する第3級アルキルアジドに変換することを見出した。しかし、この反応では、まずアルコールから鍵中間体であるアルキルホスフィナイトを調製してから反応させることが必要であった。 今回、アルキルホスフィナイトを調製することなく、直接にアルコールから縮合生成物を合成する効率的かつ有用な縮合反応の開発を試みた。すわなち、有機リン化合物とベンゾキノン類を組み合わせ用いる新しい酸化-還元的脱水縮合反応の研究に着手した。今回は、2-メルカプトベンゾチアゾール(硫黄求核剤)と4-フェニル-2-ブタノールから対応するスルフィドを合成する反応をモデルに取り上げ、反応条件について種々検討した。その結果、フェニルジフェニルホスフィナイト(PhOPPh_2)と2,6-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン(DMOBQ)を組み合わせ用い反応させると目的の縮合反応が円滑に進行することを見出した。アルコールの基質一般性について検討した結果、種々の第1級および第2級アルコールに適用できることが分かり、立体障害の大きい第3級アルコールについても、2,6-ジメチル-1,4-ベンゾキノンを用いると、目的のスルフィドが収率良く得られることを見出した。さらに、光学活性な第2級および第3級アルコールを用いる場合には、ほぼ完全な立体反転を伴って対応するスルフィドがそれぞれ高収率或いは中程度の収率で得られることを明らかにした。 以上、PhOPPh_2とDMOBQを組み合わせ用いる新しい酸化-還元的脱水縮合反応を明らかにし、種々のアルコールから立体特異的にスルフィドを合成する極めて有用な手法を確立した。
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Research Products
(2 results)