2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁気再結合領域周辺における物理素過程の3次元的描像に関する理論的研究
Project/Area Number |
06J00163
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
藤本 桂三 National Institute of Information and Communications Technology, 第三研究部門電磁波計測研究センター宇宙環境計測グループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | 磁気再結合 / 3次元電磁粒子コード / 適合格子細分化法(AMR法) / キンクモード / 異常電気抵抗 |
Research Abstract |
本研究は、従来の粒子法(Particle-In-Cell(PIC)法)に適合格子細分化法(Adaptive Mesh Refinement(AMR)法)を組み合わせた新しい3次元電磁粒子コードを開発し、従来よりも非常に大きな計算領域で3次元電磁粒子シミュレーションを実施することによって、磁気再結合現象の3次元構造を明らかにすることを目的としている。 本年度は、まず、前年度に引き続き新しい3次元コードの改善を進め、AMR法を適用する上で数値的により安定で効率的な計算アルゴリズムを確立した。これにより、磁気再結合現象に伴う複雑な構造を効率よく記述できるようになり大規模な3次元シミュレーションが可能になった。 次に、完成したコードを用いて磁気再結合現象の大規模3次元シミュレーションを実施し、非磁気再結合面内で励起される不安定性が磁気再結合の進行に与える影響を調べた。その結果、電流層に沿って伝播するキンクモードの波動によって電子が加熱され、それが電気抵抗となって磁場のつなぎかわりに必要な磁気拡散を与えていることが明らかになった。重要な点は、今回発見された磁気拡散メカニズムが従来から提案されてきたもの(電子慣性による磁気拡散)とは大きく異なるにも関わらず、磁気再結合率そのものにはほとんど影響を与えず速い磁気再結合を実現していることである。これまでの研究から、電子慣性に伴う電気抵抗だけでは準定常的な高速磁気再結合を実現することが困難であった。本研究は、3次元性の導入によって新たな磁気拡散メカニズムが発生し高速磁気再結合を維持する可能性を示唆しており、磁気再結合に伴う大規模なエネルギー変換過程を理解する上で大きな意義があると考えている。
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Research Products
(4 results)