2007 Fiscal Year Annual Research Report
人の脳における身体を中心とした空間位置情報の表現形式とその計算論的原理の解明
Project/Area Number |
06J00164
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
三崎 将也 National Institute of Information and Communications Technology, 第一研究部門未来ICT研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 脳 / f MRI / 空間認識 / 左右非対称 / 相互情報量 |
Research Abstract |
眼球運動課題を用いて、視点移動の対象位置に対応した脳活動を調べる実験を行い、これまでに分かった左右方向での非対称性の検証に加え、上下方向での空間位置表現の違いも調べた。f MRIデータの解析では、個々の画素単位だけでなく、脳の領域ごとの集団での活動分布を調べる解析も取り入れた。頭頂領域においては、左右方向への非対称な反応傾向が個別の画素単位でははっきりとは見られなかったが、領域単位の活動の分布では、左半球が右方向に強く反応し、右半球が左右両方向に対して強く反応する非対称性が有意に見られた。このことは、左右の位置表現の非対称性が、個別の小さな部位の反応傾向にあるのではなく、領域内の反応の分布にあることを示している。また上下方向に関しては、初期視覚野では、背側が下方向、腹側が上方向に強く反応していたが、それ以降のほとんどの領野では上方向に対してより強く反応していることが、活動分布の解析から明らかになった。 解析法の開発も行い、これまで開発してきた非線形回帰の手法であるニューラルネットワークを用いたBOLD信号解析をさらに発展させ、情報量規準とMost informative Dimension法を組み合わせた解析法の開発を行った。ニューラルネットワークを用いた解析では、課題とBOLD信号のいかなる関連も検出することが可能であったが、課題のどのような要素にBOLD信号がどのように対応しているのかを調べることは困難であった。新たに開発した解析法では、課題とBOLD信号変化との相互情報量が最大となるような射影次元を求める。どのような射影方向に情報があるかを調べることにより、BOLD信号のどのような変化が、課題のどのような変化に対して関係しているのかを調べることが可能になる。また相互情報量を用いることで、任意の非線形な関係性も抽出することが可能である。
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Research Products
(1 results)