2008 Fiscal Year Annual Research Report
3次元多様体の幾何的性質に関するヘガード分解を用いた研究
Project/Area Number |
06J00181
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
斎藤 敏夫 Nara Women's University, 人間文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 3次元多様体 / ヘガード分解 / 結び目 / デーン手術 / (1,1)-結び目 |
Research Abstract |
1.(1,1)-分解の複雑度に関する研究 「与えられた(1,1)-結び目に対して,(1,1)-分解の複雑度は不変であるだろう」という予想の解決へ向けた研究を行った.この予想は複雑度が「2」以下の場合は正しいことが既に分かっており,前年度の成果としては,ある特定の性質をもった結び目以外はこの予想が正しいことを示すことまではできていた.今年度は,その「特定の性質」が(1,1)-分解に与える影響を詳細に捉えることに成功し,上記予想の解決を目指すにあたり,避けては通れない本質的問題点を見つけることができた. 2.レンズ空間を生成するデーン手術を許容する結び目に関する研究 レンズ空間を生成するようなデーン手術(レンズ空間手術)を許容する3次元球面内の結び目に関する研究を行った.(-2,3,7)型のプレッツェル結び目はそのような結び目のなかで最も基本的な双曲結び目として知られていることをふまえて,レンズ空間手術を許容する双曲結び目の1変数族として(-2,3,7)型プレッツェル結び目を含むものを構成した.その後,Alberto Cavicchioliとの共同研究により,その1変数族に属する各結び目はレンズ空間手術の"近く"として位置付けられる(整数係数)デーン手術においても,(-2,3,7)型プレッツェル結び目と同様の例外手術を許容することを示した.さらに,その1変数族に属する各結び目が許容する(1,1)-分解の複雑度は必ず「3」になることも証明した.このことは,1.に記述した予想を肯定的に支持する新たな無限族の発見という意味で非常に興味深い結び目族であることを意味している.
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Research Products
(2 results)