2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J00270
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山嵜 敦子 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 進化発生生物 / 初期発生 / 転写因子 |
Research Abstract |
ウニ16細胞期胚の植物極に形成される小割球は、発生において2つの重要な役割を担っている。小割球は、細胞自律的に骨片形成細胞へと分化するだけでなく、内胚葉と二次間充織細胞(SMC)を誘導する形成中心としてはたらく。小割球の特異化を含めて、ウニ胚の内中胚葉形成には核β-cateninが必須である。β-cateninの核移行は16細胞期にはじまり、その後大割球子孫細胞へと広がる、私たちはこれまでに、核β-cateninの小割球における標的遺伝子であるmicro1遺伝子の機能解析から、micro1が小割球特異化に中心的な役割をすることを明らかにしてきた。一方で、もうひとつの核β-catenin標的遺伝子としてKrlが単離されていた。アメリカのグループは、Krlをノックダウンすると内胚葉形成が遅れることから、内胚葉形成に必要であると結論していた。しかし、Krlは小割球と大割球子孫細胞の両方で発現するため、内胚葉形成が遅れた原因としては、Krlが(1)小割球の誘導能に必要、(2)大割球において内胚葉形成経路に必要、というふたつが考えられ、どちらであるかが不明であった。私たちは、日本独自の胚操作技術を組み合わせることで、各割球におけるKrlの機能を解析した。その結果新たに、Krlは(1)SMC形成に必要である、(2)小割球の誘導能には必要ないように見える、(3)大割球において内中胚葉形成に必要である、ことが明らかになり、これによって、Krlの内中胚葉形成の遺伝子調節ネットワークにおける位置をも明らかにすることができた。 また一方で、micro1の機能ドメインの解析を行った。その結果、micro1機能にはDNA結合ドメインであるホメオドメインが必須であること、また、micro1による転写抑制はco-repressorであるGrouchとの結合を介して行われることが示唆された。
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Research Products
(2 results)