2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J00270
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山嵜 敦子 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小割球特異化 / 遺伝子調節ネットワーク |
Research Abstract |
ウニ16細胞期胚の植物極に形成される小割球は、発生において2つの重要な役割を担っている。小割球には、(1)細胞自律的なPMC-骨片形成細胞への分化、そして(2)内胚葉と非骨片形成中胚葉の誘導、という2つの役割を持つ。以前私たちは、Microl遺伝子が小割球の2つの役割に中心的な役割をすることを明らかにした。MicrolはN末側にpaired-typeのホメオドメイン、そのC末側に2つのeh1様モチーフを含むSerine-rich Repeat(SR)を持つ転写抑制因子である。一方で最近、Revilla-i-Domingo et al(2007)は、小割球特異化かMicrolとHesCの二重抑制メカニズムによって調節されていることを明らかにした。つまり、小割球系譜でのみ活性化されたMicrolが、ユビキタスな転写抑制因子HesCを抑制することで、下流の小割球特異化に関わる次の遺伝子の活性化をpositiveに調節する。Tbr、Alxl、EtslはPMC-骨片形成細胞への分化を、Deltaは内中胚葉誘導を調節する。しかし、Microlの機能ドメインや、HesCを含む標的遺伝子の転写抑制メカニズムはよくわかっていない。 そこで私たちは、Microlの構造と機能の相関関係を調べた。その結果、(1)Microlには2タイプの転写抑制motifが存在し、それらがredundantにHesC転写抑制を仲介すること、また、HesCのみを抑制したとき、Delta活性化が起こるのに対してTbr、Alxl、Etslは活性化されないことから、(2)PMC-骨片形成細胞特異化遺伝子とDeltaの空間的発現調節は異なるメカニズムによること、が示唆された。この観察から、現在私たちは「小割球特異化遺伝子ネットワークには、HesCに加えて、PMC-骨片形成細胞特異化遺伝子を抑制する別の抑制因子が存在するのではないか」と考えている。
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Research Products
(2 results)