2008 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸誘発性神経細胞死に対する耐性獲得メカニズムの究明と応用研究
Project/Area Number |
06J00272
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
神戸 悠輝 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グルタミン酸 / NMDA受容体 / 神経細胞死 / ミトコンドリア / カルシウムイオン |
Research Abstract |
昨年までの研究より、大脳皮質由来の神経細胞は海馬由来の神経細胞と比較してグルタミン酸だけでなく、NMDAに対しても耐性を発揮するという結果を報告し、さらに、NMDAに対して脆弱な海馬由来の神経細胞においてのみ、NMDA曝露後にミトコンドリアの電位の崩壊が観察されることを報告してきた。本年度はさらにミトコンドリアに注目し研究を行った成果を報告する。 まず、両親経細胞より単離したミトコンドリアにおける、直接的なミトコンドリア外カルシウム濃度変化の影響を検討すると、海馬由来ミトコンドリアでのみCytochrome Cの流出が観察されたことから、両神経細胞のミトコンドリア自体に違いが存在する可能性が考えられた。 次に、神経細胞へのNMDA曝露後におけるミトコンドリアのカルシウム取り込み活性について検討した。その結果、NMDA曝露によって海馬由来ミトコンドリアでは大脳皮質由来標品に比べて、約2倍のカルシウム流入活性が観察された。さらに、海馬由来神経細胞のNMDAによる神経細胞死に対して、ミトコンドリアへのカルシウム輸送担体であるとされる、Mitochondrial calcium uniporter(mCU)の阻害剤であるRuRedをNMDA曝露30分前からNMDA曝露終了時まで添加すると、NMDAによる神経細胞死を顕著に阻害することから、ミトコンドリアへのカルシウム流入はNMDAによる神経細胞死に深く関わっていることが推察される。さらに、近年Uncoupling protein(UCP)2がmCUの実態であると予想されていることから、UCP2の発現を両神経細胞で比較すると、海馬由来神経細胞で有意に高い発現が見られた。以上の結果より、海馬由来神経細胞の脆弱性を決定する要因は、ミトコンドリアに発現するカルシウム輸送担体である、UCP2分子である可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Possible protection by notoginsenoside R1 against neurotoxicity of N-methyl-D-aspartate receptor composed of an NR1/NR2B heteromeric assembly2009
Author(s)
Bin Gu, Noritaka Nakamichi, Wen-Sheng Zhang, Yukary Nakamura, Yuki Kambe, Ryo Fukumori, Kazuhiro Takuma, Kiyofumi Yamada, Takeshi Takarada, Hideo Taniura, Yukio Yoneda
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Journal Title
J. Neurosci. Rec. (In press)
Peer Reviewed
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