2006 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理的な電流電圧特性解析に基づく新規バイオチップの開発
Project/Area Number |
06J00282
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
夏目 貴行 豊橋技術科学大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子シミュレーション / DNA / PNA / LNA / RNA / バイオチップ / DNAチップ |
Research Abstract |
遺伝子のDNA塩基配列を正確かつ迅速に検出するため、DNAなどを用いたバイオチップが開発された。さらに、より高速且つ高精度な塩基配列の解析を実現するため、DNA以外の様々な人工核酸を用いたバイオチップの開発が、世界中で精力的に進められている。特に、PNA(peptide nucleic acid)やLNA(locked nucleic acid)を用いたバイオチップに注目が集まっている。 PNAやLNAは、DNAとの結合能力が高く、また塩基ミスマッチを容易に検出することができるため、DNAチップに代わる新たな高性能バイオチップとして期待されている。しかし、PNAやLNAがより安定な二重鎖を形成する原因について、理論的な説明は成されていない。 本研究では、DNAの塩基配列をより高精度に検出できる新規バイオチップの提案を目指し、DNAとその類似核酸から成る様々な二重鎖の電子状態を、密度汎関数法に基づく第一原理分子軌道計算により解析した。特に、二重鎖間の結合ュネルギーの相違に注目して、どの核酸の組合せが、最も安定な二重鎖構造を形成するかを明らかにした。 その結果、LNAやPNAを含む二重鎖は、従来のDNA二重鎖よりも、鎖間の結合ュネルギーが大きくなることを明らかにした。この結果は、PNAやLNAがDNAとより安定な二重鎖を形成するという実験結果と定性的に一致する。この結果を理論的に説明するため、各二重鎖構造の水素結合部位の電荷分布を詳しく解析し、PNAやLNAを含む二重鎖では、水素結合に関与する水素原子の電荷が、DNA二重鎖構造の電荷と比較して大きいことを明らかにした。そのため、PNAやLNAを含む二重鎖では水素結合がより強くなり、鎖間の結合エネルギーが大きくなったと結論できる。これらの結果より、PNAやLNAが、DNAチップに代わる新たなバイオチップとして優れた特性を持つことが明らかになった。
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Research Products
(3 results)