2007 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理的な電流電圧特性解析に基づく新規バイオチップの開発
Project/Area Number |
06J00282
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
夏目 貴行 Toyohashi University of Technology, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子シミュレーション / DNA / PNA / LNA / RNA / GrinNA / DNAチップ |
Research Abstract |
DNAチップは、人間の遺伝子情報を解析し医療や生命科学に役立てる基幹技術の一つとして開発され、遺伝子のDNA塩基配列を正確かつ迅速に検出することができる。DNAチップの高性能化には、PNAやLNAなどのDNAとより強く結合できる人工核酸を搭載した新規バイオチップや、DNA中に流れる電流量により塩基配列を解析する電気化学DNAチップに注目が集まっている。しかし、DNAと人工核酸から成る二重鎖の電子状態や電荷移動機構は未だ理論的に明らかにされておらず、高精度なDNAチップ開発のボトルネックとなっている。本研究では、DNAおよびその類似人工核酸から成る様々な二重鎖を分子シミュレーションにより理論的に解析し、より高精度な新規バイオチップの可能性を理論的に提案することを目的とする。 本研究では、DNA、RNA、PNA、LNA、GripNAなど様々な核酸から成る二重鎖を分子力学法を用いて作成し、密度汎関数法により電子状態を解析して、各核酸の特性の違いを理論的に検証した。また、各二重鎖の電気伝導性を解析し、どの二重鎖が最も伝導性が高いのかを明らかにした。 計算結果から、PNAやLNAを含む二重鎖の結合エネルギーが増加した理由は、二重鎖間に存在する水素結合部位の原子の電荷が大きくなったためであることを明らかにし、DNAと強く結合できるPNAやLNAが新規バイオチップの素子として有用であることを理論的に明らかにした。また、塩基対部位により電子を集めるバックボーンを持つ人工核酸が、DNAとより強い水素結合を介して安定な二重鎖を形成すると考え、この特徴を持つ新たな人工核酸を理論的に設計した。その結果、DNAと強く結合可能な新規人工核酸を、実験に先駆けて新たに提案することに成功した。また、LNAを含む二重鎖は電気伝導性が高く、より高性能な電気化学DNAチップの素子として有用であることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)