2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国古代の秦律・漢律における防犯体制及び刑事手続体制についての研究
Project/Area Number |
06J00335
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
水間 大輔 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 中国 / 中国古代 / 秦 / 漢 / 法制史 / 刑事手続 / 官制機構 / 裁判 |
Research Abstract |
本研究は中国古代の秦・漢において、いかなる防犯体制及び刑事手続体制が設けられていたのかを検討し、当時の国家が犯罪の予防をどのように実現させようとしていたのかを明らかにすることを目的とする。本年度はその手始めとして、防犯・刑事手続を担う官制機構について検討した。まずはデータベースを利用したり、あるいは中国西北部に点在する秦・漢の遺跡を調査することを通して、関連する史料を蒐集した。「11.研究発表」欄の「居延漢代峰燧・城邑遺趾等踏査記」は実地調査によってえられた知見をまとめたものである。一方、本研究に関連する先行研究の整理を行った。中でも、籾山明『中国古代訴訟制度の研究』は本研究にとって最も関連の深い先行研究であるので、これを精読し、「11.研究発表」欄の「籾山明著『中国古代訴訟制度の研究』」においてその問題点を整理した。 如上の研究方法を用いて検討を行った結果、以下のことが明らかになった。まず、日常の警邏は各地に設けられた亭という機関によって行われる。亭の責任者である亭長が求盗を率いて警邏にあたる。犯罪が発覚した場合、県へ報告され、県が捜査から裁判までを行う。すなわち、丞が令史を派遣して現場検証を行わせ、獄史が捜査を行い、可能であれば令史あるいは獄史が犯人を逮捕する。犯人が逃亡中の場合、亭長が求盗を率いて犯人を追捕・逮捕する。また、犯人が「群盗」(五人以上の犯罪集団)の場合、県令・尉が吏・徒を率いて追捕・逮捕するのが原則であるが、規模の大きな群盗については郡守あるいは刺史が軍を率いて討伐し、さらには中央から軍が派遣されることもあった。逮捕によって犯人の身柄を拘束した後、丞・獄史が訊問を行い、県令・丞・獄史が判決を下す。ただし、死刑にあたる罪、及び一部の殺人罪の場合、必ず郡へ上申し、丞・都吏の審理を経てから判決を下す。 現在、以上の研究成果を論文としてまとめ、投稿へ向けて準備している最中である。
|
Research Products
(2 results)