2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国古代の秦律・漢律における防犯体制及び刑事手続体制についての研究
Project/Area Number |
06J00335
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
水間 大輔 Waseda University, 文学学術院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 中国 / 中国古代 / 秦 / 漢 / 法制史 / 律 / 防犯 / 刑事手続 |
Research Abstract |
本研究は中国古代の秦・漢において、いかなる防犯体制及び刑事手続体制が設けられていたのかを検討し、当時の国家が犯罪の予防をどのように実現させようとしていたのかを明らかにすることを目的とする。本年度は、当時の民衆は防犯・刑事手続に対して一体どれほどの義務を負わされていたのか、そしてそのような民衆による防犯・刑事手続が、地方行政機関といかなる連携をとっていたのかを検討した。この問題を明らかにするため、以下のような研究方法をとった。すなわち、秦律・漢律(秦・漢で行われていた法律)及び関連する史料の中から、民衆と防犯・刑事手続とのかかわりを示す史料を抽出し、分析を加えた。その一方で、本研究に関連する先行研究を蒐集・整理した。さらに、中国甘粛省敦煌市で漢代の城邑・関所・亭(治安維持を司る機関)など、防犯・刑事手続と関連する遺跡の実地調査を行い、史料を蒐集した。 検討の結果、以下のようなことが明らかになった。すなわち、秦・漢においては、人が殺されそうになったり、あるいは傷を負わせられそうになった場合、付近にいる人々は被害者側を助けなければならなかった。また、犯人の親族及び「伍人」(同一の「伍」(五家で構成される隣保組織)に所属する者)には犯人を告発・逮捕する義務が負わされていた。この義務を果さなかった場合、犯人が犯した罪の軽重に応じて処罰された。逆に、犯人の親族・伍人ではなくても犯人を告発・逮捕すれば、犯人が犯した罪の軽重に応じ、賞与として爵・黄金・銭が授けられた。告発はいかなる吏に対して行ってもよいというわけではなく、県・道に対して行うのが原則であった。ただし、県・道の治所から遠く離れたところでは、最寄の郷や、亭長など県に所属する「士吏」(武吏の総称)に対して告発することも認められていた。
|
Research Products
(2 results)