2006 Fiscal Year Annual Research Report
古代エジプトの土器製作における技術連鎖の再構築:シェーンオペラトワール的研究
Project/Area Number |
06J00342
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
馬場 匡浩 早稲田大学, 総合研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 古代エジプト / 先王朝時代 / ヒエラコンポリス遺跡 / 土器焼成遺構 / 土器製作技術 / 実験考古学 / シェーンオペラトワール |
Research Abstract |
<現地エジプト> 本研究課題の主軸となるヒエラコンポリス遺跡での発掘調査を、平成19年2月から3月にかけて実施した。これまで行ってきた土器焼成遺構の継続調査となるが、今回は発掘区域を北に拡張し、遺構の全容を把握することに努めた。これにより、焼成遺構が新たに3個所検出された。前回よりも保存状況が良好で、地面に直径1m弱の窪みが掘られ、その上には窪みを囲むように大型土器片と粘土で築かれた立ち上がりが検出された。こうした出土状況は、これまで想定していた「土器片と粘土による覆い焼き」の焼成方法を立証するものと言える。この他、土器片を転用した製陶工具の埋納が3個所にて見つかった。その内の1つは、450点以上の製陶工具が含まれていた。 さらに、土器焼成遺構のすぐ北側で、ほぼ完形のオーブンが検出された。このオーブンは直径1m程の大型鉢を使ったもので、鉢の周りを粘土と土器片で囲い、焚き口も備わっている。エジプト先王朝時代にてこうした遺構はこれまで皆無であり、ほぼ完全な状態であることからも、資料的価値は極めて高い。焼成遺構とともに、当該時代のパイロテクノロジー研究に大きく貢献するものと言える。 また、土器焼成復元実験にむけて、出土土器の詳細観察を実施した。これにより、混和材の含有率、精製土器と粗製土器の胎土の差異が概ね明らかとなった。さらに、成形技法を解明するため、完形土器の器表面観察を実施した。 日本における焼成実験のため、ヒエラコンポリス遺跡にて粘土を採取し、胎土サンプル・ピースを作製して持ち帰った。 <日本> 発掘資料の整理及びデジタル化作業を実施した。資料はデータ処理の向上、及び海外研究者との情報交換のためにデジタル化を計った。 関連比較資料を収集した。土器製作技術に関する考古学・民族学の文献及びシェーンオペラトワールの研究文献を集め、研究の方向性について検討を加えた。
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Research Products
(3 results)