2007 Fiscal Year Annual Research Report
古代エジプトの土器製作における技術連鎖の再構築:シェーンオペラトワール的研究
Project/Area Number |
06J00342
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
馬場 匡浩 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 古代エジプト / 先王朝時代 / ヒエラコンポリス遺跡 / 土器焼成遺構 / 土器焼成技術 / パイロテクノロジー |
Research Abstract |
<現地エジプト> 本研究課題の主軸となるヒエラコンポリス遺跡の発掘調査を、平成20年1月から2月にかけて実施した。今期は発掘区をさらに北に拡張して昨年出土した加熱施設(オーブン)の全容を把握するとともに、これまで確認された土器焼成遺構の詳細観察を実施した。調査の結果、新たに2基のオーブンが確認された。当該時代で前例のないこのオーブンは、直径1m程の大型鉢を粘土と土器片で固定し、下方から火を焚く構造をなす。これは土器焼成遺構とともに当該時代のパイロテクノロジーを知るうえで極めて重要な資料と評価できる。内部の有機物残滓は現在、植物学的分析を行っている。なお焼成遺構に関しては、半裁により包含物と構造の理解に努めた。また、土器の成形および焼成の技術に関する知見を得るため、これまで完形で出土している土器の器表面観察を実施した。成形は、複数の工程を踏む複雑かつ規格化されたものであり、焼成は、黒斑などの痕跡から据え方や火まわりの状況など焼成方法を復元する資料を得た。これは現在分析中である。 <イギリス> 19年の6月からイギリス・ウェールズ大学に客員研究員として在籍し、大英博物館所蔵の土器片および粘土サンプルの鉱物学的観察と化学分析を行っている。26点の土器片と20点の粘土サンプルに対して、誘導結合プラズマ原子発光分析法と薄片偏光顕微鏡による岩石学的観察を行った。これら化学分析は現在進行中であり、来年度はさらにサンプル数を増やす予定である。
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Research Products
(4 results)