2008 Fiscal Year Annual Research Report
レム睡眠中の夢生成過程の検討と夢見の客観的評価指標の検討
Project/Area Number |
06J00362
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小川 景子 Waseda University, スポーツ科学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 夢見体験 / レム睡眠 / 脳波 / 脳機能 / 事象関連電位 / 眼球運動 / 動物実験 / 特定脳部位の破壊 |
Research Abstract |
本研究の目的は,レム睡眠中における夢の発生メカニズムを検討し,夢の客観的指標の呈示を試みるものである.これまで報告者は夢見体験との関連が報告されている急速眼球運動(REMs)を手がかりに,レム睡眠中の脳電位(脳機能)を検討した.本年度は,これまでの研究成果をまとめ,脳活動と関連がみられるREMの発生機構について検討を行った.(1)これまでの研究成果より,レム睡眠中にはREMsに合わせて特有の脳内活動が生じることを示唆した.具体的にはREM開始前には,記憶・情動に係る海馬傍回及び扁桃体,REM開始に伴い運動イメージ・運動出力,情報のバインディング過程に係る補足運動野,一次運動/感覚野,頭頂-後頭連合野,そしてREM停止時点で視覚情報処理に係る視覚野の活動が生じることを報告した.この結果はREMsが鮮明な夢見体験に関連することと対応する.(2)レム睡眠中のREMsが出現する区間では出現しない区間に比べてより鮮明でありありとした夢見を体験することが報告されている.この原因として(1)で示したREMsに伴う特有の脳内活動が関連すると考えられる.しかし,REMsの発生機構については未だはっきりしていない.現在のところ脳幹由来とする知見がほとんどであるが,覚醒時と同様の発生経路を持つ眼球運動が生じるのかどうかは分かっていない.そこで,本研究では覚醒時眼球運動に係る中脳上丘を破壊することでレム睡眠中のREMsにどのような影響が表れるか検討した.もしレム睡眠と覚醒時で同様の眼球運動発生経路が賦活しているならば,上丘の破壊によりレム睡眠中のREMsにも影響が及ぶと予測される.現在までの検討により,上丘の破壊により,レム睡眠中のREMs(バースト状波)の出現回数の減少が観察され,REMsと上丘の関連が示唆された. 本年度の一連の検討により,REMsに伴う脳活動が夢見体験と対応関係にある可能性を示唆した.また今後REMsの発生機構を検討することでREMsそのものと夢見体験の関連も引き続き検討していく. なお本研究内容は,各関連機関(広島大学,福島大学)の倫理委員会で承認を得て行っている.
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article]2008
Author(s)
子安増生, 二宮克美, 編, 宮内哲, 小川景子, 分担執筆
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Journal Title
キーワードコレクション心理学フロンティア(13章 夢見)(新曜社)
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