2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境遺伝子資源からの有用酸化酵素の効率的探索技術の開発とその応用
Project/Area Number |
06J00383
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古屋 俊樹 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 酸化反応 / モノオキシゲナーゼ / P450 / FT-ICR MS / 環境遺伝子資源 |
Research Abstract |
酸化反応は物質変換において最も重要な反応のひとつであり、酸化酵素は常温、常圧下で選択性の高い反応を実現することから環境調和型の触媒として有用である。環境遺伝子資源からの有用酸化酵素の効率的探索技術の開発とその応用を目的として、本年度はまずフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置(FT-ICR MS)を利用した酸化酵素活性一斉解析法を確立し、その有効性を明らかにした。具体的には、モデル酸化酵素としてBacillus subtilis由来全P450酵素8種を選択し、トリテルペンを中心とする30化合物の混合溶液と反応させ、酸化活性をFT-ICR MSを利用して評価した。その結果、3種に対して新規な酸化活性を検出することに成功した。とくにCYP109B1はコンパクチンに加えていくつかのステロイド化合物に対しても酸化活性を示した。本手法ではFT-ICR MSの高分解能、高質量精度という特質を活用し、多種化合物に対する活性評価が短時間かつ高い同定能で可能なことを明らかにした。一方、ゲノム配列情報をもとに芳香族化合物に対して新規な酸化活性を有する酵素を取得することに成功し、大腸菌内で電子伝達系コンポーネントを共発現させることにより効率的な活性発現系を確立した。今後は、本酵素をモデルとして環境遺伝子資源から酸化酵素遺伝子をカセットPCR法によりクローニングする。さらに、FT-ICR MS、LC TOF MS、呈色法等を利用して酸化活性を探索、評価し、様々な基質・反応選択性を有する酸化酵素からなるライブラリーの構築を目指す。
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