2006 Fiscal Year Annual Research Report
身体活動・運動分野における行動科学的アプローチの開発
Project/Area Number |
06J00392
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武田 典子 早稲田大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 身体活動・運動 / 行動科学 / 中高年者 / ウォーキング / 運動に関する行動的スキル / 運動行動の変容ステージ / 無作為化比較対照試験 |
Research Abstract |
本研究の目的は,身体活動・運動分野における行動科学的アプローチの有効性を検証することである.本年度は,1)身体活動・運動行動に影響を与える要因としての行動的スキルを評価する尺度の作成と,2)行動科学的介入の有効性を明らかにするための無作為化比較対照試験を実施した. 1)では,運動の行動的プロセスや身体活動・運動介入で用いられている行動変容技法を参考にして運動に関する行動的スキル(EBS)尺度を作成した.地域居住の成人に対する質問紙調査の有効回答者647名を対象として分析した結果,5項目からなる1因子構造の尺度が作成され,高い信頼性と妥当性を有することが示された.EBS得点と運動行動の変容ステージとの関連は,前熟考期に属する者は他の全てのステージに属する者と比較して得点が低く,実行期,維持期に属する者は,熟考期,準備期に属する者よりも得点が高いことが明らかとなり,身体活動・運動習慣の定着を目的とした介入において有益な情報をもたらすことが示唆された. 2)では,行動科学的介入を組み入れたウォーキングプログラムと組み入れないプログラムの2種類を準備して無作為化比較対照試験を実施し,運動習慣定着に及ぼす行動科学的介入の影響を検討した.地域居住の中高年者77名を介入群40名,対照群37名に無作為に割付けた.週1回計8回のプログラムでは,介入群では(1)ウォーキングに関する知識の提供,(2)グループウォーキング,(3)セルフモニタリング,目標設定を中心とした行動介入を実施した.対照群では(1)と(2)のみを実施した.結果,運動行動の変容ステージがプログラム前に前熟考期,熟考期,準備期であった者で,プログラム後にステージが実行期,維持期に移行した者の割合は介入群のほうが有意に高かった.以上から,身体活動・運動プログラムに行動科学的介入を組み入れることが効果的な運動習慣の獲得に影響を及ぼす可能性が示唆された.
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Research Products
(3 results)