2006 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴルの独立国家形成と近代国際社会-領域画定過程における内モンゴル問題-
Project/Area Number |
06J00415
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
橘 誠 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | モンゴル独立 / 内モンゴル / 近代国際社会 / 万国公法 / ヒシクテン旗 / ゴルロス後旗 |
Research Abstract |
本研究の目的は、モンゴルの独立国家形成過程における内モンゴルをめぐる諸問題を近代国際社会とのかかわりの中で考察し、なぜ現在のような国境が設けられるようになったのか、そして独立宣言後に政治主体として近代国際社会に参加したモンゴルがいかにこれに対応していったのかを明らかにすることにある。そこで本年度の研究計画に従い、まず、独立宣言後に初めて締結した国際条約である露蒙協定の締結過程を分析し、モンゴルの国境設定の源を探り、これを「「モンゴル」独立と領域問題-露蒙協定の分析を中心に-」として『アジア研究』に発表した。また、モンゴル国立中央図書館において発見したモンゴル語訳『万国公法』を、モンゴル国のアマルサナー、バヤルサイハンとの共編でウランバートルにおいて刊行し、解説を執筆した。 次に、辛亥革命・モンゴル独立宣言後の内モンゴルの政治・社会状況を明らかにするため、モンゴル国立中央公文書館において史料調査を行い、特にゾーオダ盟のヒシクテン旗、ジリム盟のゴルロス後旗を取り上げ、前者に関する分析を8月にウランバートルで開催された国際会議において発表し、その内容はMONGOLICAに掲載された。また、後者に関する分析は、「二〇世紀初頭の内モンゴル東部地域の社会構造-ジリム盟ゴルロス後旗の事例から-」として『近現代における内モンゴル東部の変容』に発表した。ヒシクテン旗、ゴルロス後旗のいずれにおいても、清代におけるザサグの継承をめぐる問題が辛亥革命・モンゴル独立宣言後に再燃し、対立する二人が一つの旗にザサグとして並立する事態に至るが、その背景として、旗内において機能するいくつかの集団組織が存在し、対立する二人がそれぞれ異なる集団組織に属する可能性を指摘した。
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Research Products
(6 results)