2006 Fiscal Year Annual Research Report
まちづくりファンドを核とした地域社会におけるまちづくり支援システムの構築
Project/Area Number |
06J00473
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 奈芳美 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | まちづくり / ファンド / コミュニティ / 協働 |
Research Abstract |
本年度は、まちづくりファンドを核とした支援システムについて、次のような点が明らかになった。 第一に、「ファサード・インプルーブメント・ファンド」についての論文でも述べたように、米は中間組織の発展とself-helpの概念、また、分析中である英は欧州的な福祉国家の社会背景の中で、国家の不十分さを補う制度として、市民の手による自主的な地域空間の改善活動を、まちづくりファンドを用いて支援してきた背景があった。日本におけるまちづくりファンドは地域組織の存在が大きく、競争的資金の導入という欧米的な概念の入りづらさがあった。フランス・英国での調査は、欧州的なバックグラウンドを詳細に見る上で、フランスのような大陸ヨーロッパにおけるさらに巨大な福祉国家からのまちづくり支援と、英国のようなゲルマン的と呼ばれるものとの比較であり、今後英国での調査結果を論文としてまとめていく際の材料とする。 また、ブエノスアイレスでの国際会議でのいかにコミュニティがまちづくりを進めていけるかという多国籍チームでの議論や、台湾でのまちづくり支援についてのプレゼンテーションと議論、及び日本での地域社会によるまちづくりへの支援のスキームを発表したIFHPでの議論を通して、英・米以外の基準による支援のあり方を学ぶ必要性が明らかになった。来年度は、まちづくり支援の現状とシステム調査を英・米だけでなく、日本との比較対象と成りうるアジア地域も対象地域に含めて行っていく。 第二に、寄稿した「日本のまちづくりファンド」で論じたように、周辺支援のスキームを構築することが、ファンドなど資金との連動でまちづくりを推進する有効性を向上させるものであると分析した。このことから、ファンドの原資調達と分配の仕組みは明らかになったため、周辺支援に関する研究を来年度はさらに進めていく。
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Research Products
(2 results)