2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞の分化誘導に関与するタンパク質因子の同定とその解析
Project/Area Number |
06J00487
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡邊 潤 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 神経幹細胞 / 神経発生 / PACAP / アストロサイト |
Research Abstract |
Pituitary adenylate cyclase activating polypeptide (PACAP)がマウス終脳由来神経幹細胞をアストロサイトへと分化誘導するシグナル伝達経路について解析を行い、cPKCの活性化が神経幹細胞のアストロサイトへの分化に重要であることを明らかとした。さらにcPKCのサブタイプのなかでもPKCβが分化に伴ってその発現量を増加させることが観察され、不活性化型PKCβをアデノウイルスを用いて強制発現させたところ分化の抑制がみられたことから、このPKCβが分化誘導時に大きな役割を担っていることが明らかとなった。 またマウスの胎仔期、新生仔期の神経発生におけるPACAPリセプター(PAC1-R)と神経幹細胞やアストロサイトのマーカータンパク質の分布・局在を免疫組織化学的に調べた結果、GFAP(アストロサイトのマーカー)陽性細胞は胎生16日から側脳室周囲に出現し、胎生期から生後にかけて側脳室周囲と海馬周辺に強い陽性反応が観察され、またPAC1-Rの陽性反応は、胎生14日にはすでに側脳室周囲に認められたが、その部位は2日後にGFAPを発現するようになる領域であることが明らかとなった。胎生14日において、PAC1-Rは、神経幹細胞のマーカーであるnestinや、多分化能を持つグリア細胞であるラジアルグリアのマーカーであるvimentinと細胞内共存していることも明らかとなった。このことからPAC1-Rは神経幹細胞に発現し、その領域から後にGFAP陽性のアストロサイトが出現することから、PACAPはin vivoにおいても神経幹細胞に作用し、その細胞運命をアストロサイトへと向かわせている事が示唆された。 さらに神経幹細胞がメチル水銀に対して非常に感受性が強く、その毒性が酸化ストレスを介していることを明らかとした。
|
Research Products
(5 results)