2007 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞由来ヒト肝細胞の機能解析とその応用的利用法の検討
Project/Area Number |
06J00488
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 雄介 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 肝細胞分化 / マイクロアレイ / シグナルパスウェイ / 肝機能 / クラスターリング解析 / 分化転換 / 間質上皮転換 |
Research Abstract |
成体幹細胞における可塑性の特性はほとんど明らかになっていない。これまでに、ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞からの肝細胞分化を証明した。そこで、肝細胞分化の原因となる遺伝子を同定するために、マイクロアレイを使用して間葉系幹細胞由来肝細胞の遺伝子発現プロファイルを調べた。発現が変化した遺伝子(1639クローン)の遣伝子セットを用いて間葉系幹細胞由来肝細胞で働いている遺伝子のネットワークの解析を包括的に検討した。クラスターリング解析によって、間葉系幹細胞由来肝細胞とヒト正常肝臓において発現している遺伝子の発現パターンが類似していることが示された。さらに、ジーンオントロジーや遺伝子のシグナルパスウェイの解析を行うことによって、間葉系幹細胞由来肝細胞で発現が上昇している遺伝子では補体の活性化や血液凝固などの代表的な肝機能に関わるカテゴリーの遺伝子が有意に出現していることが示された。興味深いことに、TwistやSnailなどの上皮間葉転換を誘導する遺伝子の発現量は分化が起こると減少することが示され、間葉系幹細胞からの肝細胞分化の過程で間葉上皮転換が引き起こされていることが示唆された。これらのデータは間葉系幹細胞とヒト正常肝臓の類似性を示しており、間葉系幹細胞の可塑性は細胞周辺の環境によって調節されていることを明らかにした。間葉系幹細胞由来肝細胞を使用することで肝機能の基礎生物学を研究するだけでなく、幹細胞を元にした治療への応用も期待できる。
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Research Products
(7 results)