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2006 Fiscal Year Annual Research Report

中国古代貨幣史の研究-中国古代の「貨幣」に関する経済人類学的研究-

Research Project

Project/Area Number 06J00496
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

柿沼 陽平  早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC1)

Keywords貨幣 / 中国古代 / 経済人類学 / 半両銭 / 秦漢時代 / 物価 / 居延 / 購
Research Abstract

本年度はおもに秦漢時代の銭(青銅貨幣)のあり方について研究した。
まず論文「秦漢時代における物価制度と貨幣経済の構造」で秦漢貨幣経済の骨格を明らかにした。すなわち秦漢時代には、基本的に銭を価値尺度手段とする、固定官価・平賈(正賈)・実勢価格よりなる可変的な物価制度が存在し、銭以外のすべての物財(黄金・布畠を含む)を対象とするものであった。そのため銭は、金本位制・布本位制などによって価値を保持していたのではなく、他の要因により価値体系の中核となっていたことになる。そこで秦漢帝国が当初、同一の銭文をもつ銭のみを流通させ、その枚数換算によって商品の価値を計る体制を維持しようとしたこと、しかるに民間では銭が秤量貨幣として扱われる傾向にあったことを論じた。その結果、のちに軽銭が軽銭として受け取られることになり、民衆が銭文に従わなくなり、官が民間の意向に沿い、より実質重量に近く、価値物としてほどよく民間に受容されるような銭文に改変せざるを得なかった事情を明らかにした。これより私は、これこそ漢がいくども銭を改鋳した理由であり、かかる官民間の相互関係から生じた均衡点が「五銖」銭であったと想定した。
つぎに論文「秦漢時代における銭と黄金の機能的差異」で、秦漢時代の褒賞金・懸賞金制度「購」に着目し、そこでの黄金と銭の使われ方の違いについて検討した。その結果、黄金は賜与物として概して銭よりも高い象徴的価値を帯びていたとする通説が誤りで、むしろ黄金と銭の流通回路は根本的に異なることを立証した。すなわち、再分配において黄金と銭のどちらが選好されるかは、制度的・習俗的・経済的要因によりそのつど変化するもので、黄金の象徴的付加価値の高さのみを強調することには問題がある。そこで、訳注「張家山第二四七号漢墓竹簡訳注(五)金布律訳注」で、漢初の黄金・布帛などの「貨幣的存在」の特殊なあり方を究明した。

  • Research Products

    (5 results)

All 2007 2006

All Journal Article (5 results)

  • [Journal Article] 張家山第二四七号漢墓竹簡訳注(五)金布律訳注2007

    • Author(s)
      柿沼 陽平
    • Journal Title

      早稲田大学長江流域文化研究所年報 第5号

      Pages: 298-359

  • [Journal Article] 居延漢代烽燧・城邑遺址等踏査記2007

    • Author(s)
      柿沼陽平, 水間大輔, 川村潮, 楯身智史(共著)
    • Journal Title

      早稲田大学長江流域文化研究所年報 第5号

      Pages: 417-448

  • [Journal Article] 王明珂著「古代中国漢代の羌(三)-生態学的辺境と民族的境界-」2007

    • Author(s)
      柿沼陽平(翻訳)
    • Journal Title

      早稲田大学長江流域文化研究所年報 第5号

      Pages: 157-195

  • [Journal Article] 秦漢時代における銭と黄金の機能的差異2007

    • Author(s)
      柿沼 陽平
    • Journal Title

      中国出土資料研究 第11号(印刷中)

  • [Journal Article] 秦漢時代における物価制度と貨幣経済の構造2006

    • Author(s)
      柿沼 陽平
    • Journal Title

      史観 第155冊

      Pages: 36-55

URL: 

Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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