2006 Fiscal Year Annual Research Report
社会不安障害の維持に機能する認知的情報処理過程の検討と認知行動療法的介入法の開発
Project/Area Number |
06J00505
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
五十嵐 友里 早稲田大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会不安障害 / 情報処理バイアス / post-event processing |
Research Abstract |
社会不安障害の治療については認知行動療法が有効であると報告されているが,治癒率を考慮すると未だ改善の余地があると示唆されており(Clark et al., 2003など),認知行動療法による社会不安障害の効率化された治療法を開発することが本研究課題の目的である。 先行研究では,社会不安障害の認知行動モデルが検討され,情報処理のバイアスが社会不安の維持要因として機能することを示唆している。従来の研究においても社会不安の維持要因として機能する認知的要因の検討がなされた。しかしながら,社会不安障害の治療に対するこれらの知見の応用が十分なされていない現状がある。すなわち,社会不安障害の維持に影響を与える認知的要因を明らかにし,社会不安における改善された治療法を模索する必要がある。 そこで,今年度は社会不安障害の維持に影響を与える認知的要因を明らかにすることを目的として実験を行った。社会不安におけるpost-event processing (PEP)と解釈の関連について検討した。社会不安傾向高・低群にスクリーニングされた計12名の大学生は,スピーチが課される実験に参加した。実験参加者はスピーチの後と実験3日後に,聞き手の意図的に操作された行動に対する解釈について回答した。加えて,実験3日後にpost-event processing questionnaire (PEPQ)へ回答した。群,測定時期を独立変数,ネガティブな解釈の生起率を従属変数とし,抑うつ傾向得点を統制した共分散分析を行った結果,高群におけるネガティブな解釈の生起率は時間と共に増加していた。PEPQについて群を独立変数としたt検定を行ったところ,高群はPEPがより活性化されていたことが示された。したがって,社会不安の高い実験参加者はPEPに従事した結果ネガティブな解釈の生起率が高まったと考えられる。
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Research Products
(7 results)