2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J00510
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中里 健一郎 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 初代星 / 重力崩壊 / ニュートリノ / ブラックホール |
Research Abstract |
宇宙で最初に出来た初代星の研究は、化学進化など宇宙の歴史を理解する上で重要である。これらの星には、太陽の1000倍程度の質量のものもあったとされており、特に10太陽質量を超える星については、進化の最後に重力崩壊を起こして超新星かブラックホールになると考えられている。今回はこのような大質量初代星のうち、ブラックホールになるモデルの重力崩壊を計算した。 まず300〜13500太陽質量の星を18モデル計算し、それに伴って放出されるニュートリノのルミノシティーやエネルギースペクトルを解析した。その結果、重い星でもニュートリノによる冷却が強く効いて、星の中心付近は軽い星とあまり変わなくなるため、スペクトルはモデルにあまり依存しないことがわかった。さらにその放出ニュートリノを足し上げたものが、現在の地上でバックグラウンドとして観測できれば、初代星の星形成史に示唆を与えられることを示した。 次に、100太陽質量の現実的な星の進化計算の結果を用いて重力崩壊の計算を行なった。その結果、ブラックホールが形成される前に、高温で原子核が融けて生成された核子の熱的圧力で重力崩壊が跳ね返され(バウンス)ることがわかった。さらにこのメカニズムは通常の超新星(15太陽質量程度)とは異なり低密度で起こるため、バウンスの際に電子型ニュートリノがバースト的に放出される現象も通常の超新星ほど顕著でなくなることがわかった。また、これに関連して仮想的な平衡形状の星の重力崩壊の計算も系統的に行い、その結果と比較することで上の考察が正しいことを示した。これらの現象は、初代星がhigh redshifしにあることを考えると、現実の天体現象として観測することは困難だが、重力崩壊の物理の新しい側面を切り開いたという意味では興味深いものである。
|
Research Products
(1 results)