2006 Fiscal Year Annual Research Report
加齢指標蛋白質SMP30が関与する動脈硬化発症機序の解明
Project/Area Number |
06J00617
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
近藤 嘉高 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 動脈硬化 / ビタミンC / SMP30 / 加齢 / 老化 |
Research Abstract |
加齢指標蛋白質SMP30はビタミンC生合成経路の酵素グルコノラクトナーゼであり、SMP30ノックアウトマウスは臓器中および血漿中ビタミンC含量が顕著に低下する(PNAS,2006)。本研究では、SMP30が動脈硬化巣の形成に関与しているかどうかをAPoE/SMP30ダブルノックアウト(ApoE/SMP30-KO)マウスを用いて検討した。ApoE-KOマウス及びApoE/SMP30-KOマウスをchow dietにて33週間飼育し、大動脈における動脈硬化巣の総面積を定量した。ApoE-KOマウスでは、顕著な動脈硬化巣が観察された。しかし、ApoE/SMP30-KOマウスでは、ApoE-KOマウスに比べて動脈硬化巣の総面積が40%減少していた。一方、総コレステロール値、総中性脂肪値、各リボ蛋白質量に著しい違いは認められなかった。ApoE/SMP30-KOマウスにおける動脈硬化進展抑制メカニズムを明らかにするため、野生型マウス大動脈におけるSMP30の発現をリアルタイムPCR法により調べたが、SMP30は全く検出されなかった。大動脈抽出液のウェスタンブロッティングおよび大動脈切片の免疫染色からも、SMP30蛋白質は検出されなかった。一方、ApoE/SMP30-KOマウスの血清および肝臓中のビタミンC量は、ApoE-KOマウスに比べてそれぞれ1.5%および6.0%と顕著に減少していた。従って、ApoE/SMP30-KOマウスで認められた動脈硬化の抑制は、SMP30の欠損による直接的影響ではなく、体内ビタミンC量の低下によりもたらされていると考えられる。ビタミンCは、鉄など金属イオン共存下では、かえって活性酸素を発生させることが知られている。本研究の結果は、ビタミンCが動脈硬化を促進する可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)