2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノゲル工学による新規バイオマテリアル設計と細胞機能制御
Project/Area Number |
06J00624
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
長谷川 麗 東京医科歯科大学, 大学院疾患生命科学研究部, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ナノゲル / ドラッグデリバリーシステム / ヒドロゲル / 薬物徐放 / 疎水化多糖 / タンパク質 / 再生医療 |
Research Abstract |
タンパク質の機能の解明と共にこれらの新規医薬品への応用が期待されているが、その実用化にはその用途に応じてドラッグデリバリーシステムを開発する必要がある。申請者は、タンパク質内包能を有する疎水化多糖ナノゲルを用いて、新規ドラッグデリバリーシステムの構築を目指した。 これまでにタンパク質の徐放性コロイドキャリアおよび長期徐放性スキャホールド材料の開発を目的とし、ナノゲルの階層構造体を設計し、これらの有用性を評価した。アクリロイル基修飾疎水化多糖ナノゲルを、末端にチオール基を有するポリエチレングリコール(PEG)とのマイケル付加反応により架橋した。低濃度条件下においては、粒径のよく揃ったナノゲル架橋粒子を形成することが分かった。調製時の濃度を変化させることにより、粒径は40〜100nmの範囲で制御できた。詳細な検討より、得られたナノ粒子は複数のナノゲルが集合することにより形成され、そのナノゲル構造は維持されていることが明らかとなった。さらに、このナノゲル架橋粒子は生理条件下で徐々に分解されて、架橋前のナノゲルに戻ることを確認した。本方法は、濃度依存的にナノゲルの集合数を制御し、サイズの揃ったナノ粒子を得ることができるという新しいナノ粒子調製法である。今後、ナノゲル架橋粒子のタンパク質徐放能について、評価を進める予定である。次に、前述の反応を高濃度条件において進行させたところ、溶液全体がゲル化することを確認した。得られたヒドロゲルは、ナノゲル構造を維持していた。インスリンを用いた検討により、このナノゲル架橋ヒドロゲルは高い薬物内包量・保持能をもつことが分かった。今後、細胞増殖因子などのサイトカインを内包し、組織再性能について評価する予定である。
|