2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体に倣ったポリマー表面の精密設計による高度バイオ認識界面の構築
Project/Area Number |
06J00628
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岩田 綾子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 原子移動ラジカル重合 / リン脂質ポリマー / 生体適合性 / グリシジルメタクリレート / ポリマーブラシ / 表面改質 / 抗体フラグメント / プロテインチップ |
Research Abstract |
バイオチップにおいて生体分子を失活させることなく安定に固定化できる基板が求められている。また限られた空間で効率良く反応を行うためには、プローブ分子の単位面積あたりの固定化量を増やすこと、また非特異的な吸着を抑制することが非常に重要である。そこで本研究では、生体適合性を有した2-メタクリロイルオキシエチルボスホリルコリン(MPC)とグリシジルメタクリレート(GMA)から成るブロックコポリマーブラシにこれら生体分子を高密度で固定化しバイオチップ基板表面の構造最適化を行うことを目的としている。 本年度は、ポリマーブラシへ抗体フラグメントを固定化してその固定化量および活性を比較した。タンパク質を基板に固定化する場合、配向性を保って固定化することがその活性を維持する上で重要である。本研究では抗原認識部位の反対側にチオール基を有した抗体フラグメントを用いた。まずポリマーブラシのPGMAユニットにエポキシ基を介してピリジルジスルフィド基を導入した。この官能基のジスルフィド結合とチオール基との反応を利用し、抗体フラグメントの配向性を保った固定化を行った。その後抗原との反応性を解析した。その結果PGMAユニットの膜厚の増加に伴いピリジルジスルフィド基の導入量、抗体フラグメントの固定化量、そして抗原との反応性が増加することがわかった。また比較としてエポキシ基を有した有機シランの単分子膜を同様の反応に供したが、ポリマーブラシの方が効率良く抗原と反応できることが明らかとなった。PMPC-b-PGMAブラシとPGMAブラシを比較すると、PGMAブラシの方が抗体の固定化量は多いにもかかわらず、抗原との反応性は両者同程度であった。生体適合性を有するPMPCを持つPMPC-b-PGMAブラシと、GMAのみから成るPGMAブラシとでは、抗体の固定化状態が異なるということが考えられる。
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