2008 Fiscal Year Annual Research Report
レトロトランスポゾンを利用した哺乳類の胎生機構獲得の検証
Project/Area Number |
06J00631
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
成瀬 美衣 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・生命情報科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レトロトランスポゾン / 胎盤 |
Research Abstract |
哺乳類は他の種には見られない胎盤という組織を持ち、その胎盤が母体と胎児をつなぎ、胎児の発生に必須な機能を果たしている。進化の過程で哺乳類は、遺伝子の再利用、重複によって胎盤で機能する遺伝子を獲得したという説が唱えられている。しかし我々は、レトロトランスポゾン由来の遺伝子でありながら、哺乳類で高度に保存されている遺伝子Peg10が哺乳類の胎盤で必須な機能を持つことを明らかにした。また、Peg10同様に哺乳類に高度に保存されたレトロトランスポゾン由来の遺伝子群、Sirh-family(Sushi-ichi retrotransposon homologues)を単離した。これらのことから、私は、レトロトランスポゾンが哺乳類の新しいゲノム機能(特に胎盤形成)に貢献したという新しい仮説の提唱に至った。この仮説を証明するため、私はSirh-family遺伝子のノックアウトマウスの作製により、その機能を直接的に解析することにした。 私は、Sirh-family遺伝子群の発現解析から、中でもSirh7が発生初期の胎盤で高発現していることを明らかにした。そこで、中でもSirh7に注目して解析を進めることにした。In situハイブリダイゼーション法を用いてSirh7の発現部位を同定すると、発生初期から胚体外外胚葉で特異的に発現し、後期の胎盤でも部位特異的なおもしろい発現パターンを示すことがわかった。昨年度までにKOマウスを作製しており、本年度はKOマウスの解析を胎盤中心に進めることができた。そして、Sirh7 KOマウスで胎盤での表現型を詳細に示すことができた。これは、レトロトランスポゾン由来の遺伝子を利用した哺乳類の胎生獲得機構を裏付ける重要な事実である。
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Research Products
(1 results)