Research Abstract |
昨年度に引き続き,インビジブル・マイノリティたち--ハンセン病退所者および家族遺族,被差別部落出身者,性的マイノリティ,在日コリアン,アイヌなど--の当事者たちからのライフストーリー聞き取りと,その資料化の作業をすすめている。さらに,それぞれのテーマにかかわる現場(ハンセン病療養所や被差別部落等)へのフィールドワークをおこない,理解を深めるとともに,集会や研究会等に随時参加し,当事者たちとの良好な関係の構築に,今年度もつとめてきた。 今年度中に,聞き取り作業をおこない音声データを得ることができたのは,約30人。今年度中に,聞き取り音声データをトランスクリプトし,分析を加えて資料化することができたのは,5事例である。インビジブル・マイノリティにむけられた社会的な力やまなざしは,時代状況を反映しながら,これらライフストーリーの諸事例に,如実にあらわれている。なおかつ,その人生への影響の現れ方と,それに対処するための戦略のあり方は,語り手各人がもつ位置性のちがい--性別,年代,地域,階層,パーソナリティ等々--によって,それぞれに固有である。これらライフストーリー事例のひとつひとつは,それ自体が貴重な記録であり,かつまた,あらたな理論形成のための土台となるものでもある。
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